■ 第227回まちづくりひろばのご案内/2023年5月15日(月) |
Date: 2023-04-11 (Tue) |
テーマ
釜ヶ崎は新型コロナといかに闘ってきたか ー3年間の歩みを振り返る
ゲストスピーカー:
・工藤新三さん(大阪社会医療センター付属病院)
・吉村友美さん(山王訪問看護ステーション)
・山田真意さん(メゾンドヴューコスモ / サポーティブハウス連絡協議会)
新型コロナウイルス感染症は、2020年1月に国内初感染が確認されてから3年余りが経過しました。
いよいよ5月8日からインフルエンザと同じ5類へ「格下げ」となる予定です。
ご存じのとおり釜ヶ崎は単身高齢男性が集住しています。風呂やトイレが共用の住宅も多く、感染症に脆弱な町といえます。
一方、支援のネットワークが充実した町でもあります。この3年間に釜ヶ崎は新型コロナといかに闘ってきたのでしょうか。
実際に何が起き、どのような対策がなされていたのか?
医療と暮らしの現場から3人のスピーカーに振り返ってもらいながら、
地域の既存セーフティネットの効果やほころびを検証し、アップデートに向けたヒントを探ります。
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【日時】5月15日(月曜日)18:30〜20:45
【場所】太子福祉館(通称:西成プラザ)*対面のみの実施
行き方:JR「新今宮」駅東出口(通天閣側出口)、または地下鉄「動物園前」駅(6番出口)の太子交差点・南西角。太子中央ビル3階(定食屋「宮本むなし」と同じビル)。
【司会】白波瀬達也(釜ヶ崎のまち再生フォーラム事務局長)
【主催】釜ヶ崎のまち再生フォーラム
【参加費】無料 (参加申込不要)
【お問い合わせ】
釜ヶ崎のまち再生フォーラム(ありむら潜)
メール:arimura1000@gmail.com
携帯電話(ショートメール活用希望。当日も):090-8448-0315
以上
■ 第226回まちづくりひろばのご案内/2023年1月25日(水) |
Date: 2023-01-18 (Wed) |
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テーマ:西成区・あいりん地域の最新人口動態分析と、そこから見えてきたアクション課題
ゲストスピーカー:水内俊雄さん(所属 大阪公立大学客員教授)
プロフィール:2013年からは西成特区構想の有識者のメンバーとして活動。
大阪市立大学を2022年3月に定年退職し、現在、大阪公立大学客員教授。
西成労働福祉センターに4月から勤務している。専門は都市社会地理学で、
歴史地理的地域誌にも関心があり、『萩まちだより』にてありむら編集長のもと、
誌面作成を楽しんでいる。
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2023年度から西成特区構想は第3期に入ります。
これからの釜ヶ崎(あいりん地域)の再生に向けた取り組みはどうあるべきなのか。
第226回は最新の人口動態の分析から考えてみたいと思います。
近年、西成区は深刻な高齢化に伴って人口減少に直面する一方、在留外国人の急増が見られます。
こうした状況は釜ヶ崎においても顕著です。
西成特区構想では「地の利を活かしたにぎわい創出」と「従来からの強みである社会的包摂の拡充」の
両方が目指されていますが、まずは議論の大前提となる人口動態をしっかり把握することが肝要です。
「人口動態」と言われると何かこむずかしい話に聞こえますが、
要は西成区全体や釜ヶ崎(とその周辺)に、どんな人々が流入して、
逆にどんな層がいなくなっているかということ。
このまちをつくりあげているのは、このまちに住む人々です。
このまちで医療や福祉、住居などを提供している皆さんも、
このまちに住む人々に向けてサービスを提供しているはず。
人口動態は、言わばこのまちの未来を指し示す羅針盤であり、
それを知らずしてこの街の未来は語れません!
「最近、街に外国の人たち増えてきたな」「昔ながらの<釜やん>さながらの姿がめっきり減ってきたな」
「代わりに若い人たちが目立ってきてるけど気のせい?」
「私たちのサービスを提供する対象者はこの先増えていくの?減っていくの?」などなど、
皆さんの質問疑問にゲストスピーカーがバシッと答えてくれる(はずです)。
参加予約不要。
【日時】1月25日(水曜日)18:30〜20:45
【場所】西成プラザ(対面開催のみ)
行き方:JR「新今宮」駅東出口(通天閣側出口)、
または地下鉄「動物園前」駅(6番出口)の太子交差点・南西角。
そこにある太子中央ビル3階(定食屋「宮本むなし」と同じビル)。
【司会】白波瀬達也(釜ヶ崎のまち再生フォーラム事務局長)
【主催】釜ヶ崎のまち再生フォーラム
http://www.kamagasaki-forum.com
【参加費】不要
【参加予約】不要
【お問い合わせ】
釜ヶ崎のまち再生フォーラム(ありむら潜)
メール:arimura1000@gmail.com
■ 第225回まちづくりひろばのご案内/2022年10月18日(火) |
Date: 2022-10-18 (Tue) |
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大阪・新今宮駅前の新・労働&福祉総合拠点における「ワンストップ窓口」論議への、
京都からの体験的提言
〜先行事例視察シリーズの補強篇(全オンライン/事前予約必要)〜
ゲスト・スピーカー:高橋尚子さん(一般社団法人 京都自立就労サポートセンター 理事・主任)
プロフィール:
就労(就業)支援の総合拠点施設「京都ジョブパーク」内にあって、
生活困窮者への就労支援を中心的に担っておられます。その豊富な経験を基に、
「ワンストップという入口論もさることながら、アウトリーチや(相談や支援の)出口づくりこそたいへん重要」
というお話になるかと思います。
京都ジョブパーク全体像のパワポ報告も、視察したメンバーにお願いしています。
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【日時】 10月18日(火曜日)18:30〜20:30
【司会】白波瀬達也さん(関西学院大学人間福祉学部教授/あいりん地域まちづくり会議有識者委員)
【主催】釜ヶ崎のまち再生フォーラム
【参加費】無料
【申し込み方法】
以下のURLをクリックして、エントリーフォームに必要事項を記載のうえ、そのまま返信してください。
予約者に開催日の3日前をメドにZoomのURLを配信いたします。
https://forms.gle/Edzrr38LoKs5bT466
*見逃し配信を希望される方は、後日そのURLをお送りしますので、
ありむらまでご連絡ください。
【お問い合わせ】
釜ヶ崎のまち再生フォーラム(ありむら潜)
メール:arimura1000@gmail.com
以上
■ 第224回まちづくりひろば実施報告/2022年8月3日(水) |
Date: 2022-08-27 (Sat) |
▼テーマ:「エル・おおさか」内の「OSAKAしごとフィールド」視察
▼講師:松岡 潤 さん 他(大阪府商工労働部雇用推進室就業促進課 就業支援グループ)
▼参加者:11人
●内容:
2020年1月の「グッジョブ・センターおきなわ」、本年6月の「京都ジョブパーク」に続く総合拠点型就労支援施設先行事例訪問の第3弾。
2013年にリニューアルされて、就労支援の総合拠点となった。
他府県の同様の施設を見てきたこともあり、先進性とかインパクトとかはあまり感じられなかった。
生活困窮の求職者に対する直接対応や他団体連携なども乏しい印象。
逆に、そうであるが故に、我々が取り組み中の新今宮駅前・新総合施設とは重複はしないし、
役割分担できる(すべき)という点はしっかり共有できた。
以上
■ 第223回まちづくりひろば実施報告/2022年7月1日(金) |
Date: 2022-08-27 (Sat) |
釜ヶ崎のまちづくりは全国の人々の関心事。その行方は日本社会全体の社会政策的様相に影響するとも言われる。
そこで、今回は釜ヶ崎を良く知る全国の識者たちの知見を集め、
それを第3期西成特区構想有識者提言に反映させようと、開催した。
▼方式:全オンライン
テーマ:全国キーパーソンたちとの公開型オンライン意見交換会
<釜ヶ崎側>
・寺川政司さん(あいりん地域まちづくり会議座長、近畿大学建築学部 准教授)
・同会議・有識者委員(白波瀬達也 関西学院大学教授など)
<全国側>
・奥田知志さん(ホームレス支援全国ネットワーク理事長)
・瀧脇 憲さん(NPO法人自立支援センターふるさとの会 代表理事)
・大崎 元さん(建築工房匠屋)
・高沢幸男さん(寿支援者交流会 事務局長)
・鈴木亘さん(前・大阪市特別顧問)
・川口加奈さん(認定NPO法人Homedoor 理事長)
・勝部麗子(豊中市社協、コミュニティ・ソーシャルワーカー)
・田嶋康利さん(日本労働者協同組合((ワーカーズ・コープ))連合会 専務理事)
・向谷地 宜明さん(べてるの家)
・コルナトウスキ・ヒェラルドさん(九州大学大学院講師)
・マシュー・マール(マット)さん(フロリダ国際大学准教授)
▼参加者:45人
●内容:
以下、意見のやりとりの抜すい。
(1) 当地域の将来像や理念に関すること。
「“普通のまち”論には乗らず、サービスハブという地域独自の役割や魅力を継承すべき」。
⇒これは我々とも共有。町会長さんたちの異論もなんとかクリアしたと認識。
「うちの当事者参加事業では理念の共有が決定的だった。当まちづくりで一番大事にされている理念は?」
⇒「(再)チャレンジのまち」、次いで「子供の声が再び聞こえるまち」などを回答。
(2) まちづくりの主体強化に関する質問や提言も多かった。
当地域住民の構成は、労働者系(生活保護受給者や支援団体も含む)や町会系、子ども・子育て支援系、簡易宿所経営者系など複雑だ。
そのため、「地域住民のエンパワメントの方策を盛り込むべき」と。
「協同組合づくりや中間労働市場形成の視点が欲しい」
「孤立対策や見守りは住民たち自身でできるのか?建替えられた市営住宅ではどうか?」
「子どもたちの地域肯定観の醸成はどうしていく?」
「世間のイメージが悪い大阪ディープサウスだからこそできることを。イメージの悪さはほんとうにマイナス?強みかも」
「近隣の繁華街・天王寺などとは異なる特長を持たせるべし」
「歴史を生かしてギグワーカー支援の街とか。多様な働き方支援が売りの街に」
「センター跡地の新施設を管理運営できる住民の力が不可欠」など。
視聴者からは「生活困難層を受け入れる街とすることを全体で共有しきれていない。そこが弱さ」。
ただ、そこを詰め切ると町会系は崩れる懸念も暗黙に出されている。
(3) ボトムアップ型をさらに深め、住民参加度を強める方策について。
「野宿状態の人々も含めて、隅々にいる住民の声をどう拾っていってる?いく?」「今は実態的にはミドルアップなのでは?」
⇒これには「センターの未来を提案する行動委員会」の地を這うような取り組みも紹介されるべきだったかも。
(4) 提言やビジョンを地域住民や行政にきちんと伝えていくスキルについて。
「みんなが理解できる用語や心をつかむキャッチフレーズに知恵を。行政には施策毎に責任部署を明記して迫るべき」。
(5) 簡易宿所など中間居住資源を生かした居住福祉推進について。
「支援付き住居から(ソフト中心の)居住付き支援の大系への発想転換を」「目立つ空き家の一気の活用方策を」。
(6) 子ども施策について。「地域周辺には子育て支援サービスのインフラが蓄積している。それを区全体にも広げていく発想で」。
盛りだくさんで、続編が期待されて終了した。
以上
■ 第222回まちづくりひろば実施報告/2022年6月6日(月) |
Date: 2022-08-27 (Sat) |
▼テーマ:京都ジョブパーク視察
▼共催:大阪府商工労働部雇用推進室
(あいりん地域労働施設検討会議での議論の参考とする先行事例調査という目的があるため)
▼講師:
竹村 伸彦 さん(京都府商工労働観光部雇用推進室)
高橋尚子さん(京都自立就労サポートセンター)
▼参加者:25人
●内容:ホームレス用シェルター(住居)を確保するなどの単純な施策くらいしかアイデアがなかった苦難の90年代末から、08年のリーマンショック直後などのサポート模索を経て掴んだキー施策を一つひとつ施設に織り込んでいって、
そうして今日の総合拠点に到達したのだろう。その軌跡を実感した。
そして今、運営の課題も大阪と同じ方向を向いているように思えたので、参加者には「参考になった」という反応が多かった。
質疑も活発になされた。あいりん地域まちづくり会議、特に労働施設検討会議での今後の議論の促進につながることを期待したい。
以上
■ 第221回まちづくりひろば実施報告/2022年1月26日(水)@西成プラザ |
Date: 2022-08-27 (Sat) |
▼テーマ: 生活困窮者への居住支援〜政策の見取り図と今後のあり方〜
▼共催: 萩之茶屋地域周辺まちづくり合同会社
▼講師:垣田 裕介准教授(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
▼参加者:29人。
共催団体である萩之茶屋地域周辺まちづくり合同会社の萩之茶屋生活・相談サポートセンターのスタッフを中心に、
地元の就労・福祉・医療系の諸団体・行政所属の方々、在阪マスコミ、東京・名古屋の研究者の方々。
●内容(で印象に残ったこと):
ホームレス状態にまで陥る危険度が高い不安定居住者は民間営利部門(社員寮、飯場、簡易宿所、ネットカフェ、カプセルホテル等)に相対的に多く存在していて、
(すぐに生活保護のコースではなく)就労で立て直そうとする層であることが調査で判明。住宅確保給付金のニーズも高く、
ここへのピンポイント的な居住支援と総合支援が必要、という指摘だった。
以上
■ オンラインセミナー兼2021年9月まちづくりひろばのご案内 |
Date: 2021-09-29 (Wed) |
<通算220回目 Since 1999>
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●テーマ:
社会と地域の目利き力 〜ソーシャル企業認証の必要性と社会的金融〜
<趣旨>
今、京都で始まっている新しい社会的試み、「ソーシャル企業認証制度」というものについて学びます。
それが今後、大阪や西成のまちづくりにおいても取り組めるものなのかどうか、その必要性や課題などを考えます。
ご案内チラシを添付します→
https://drive.google.com/file/d/1uhZYQc4cMzPQmbN1EsPfDVy6t9N1NEFe/view?usp=sharing
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●開催概要
日 時:9月30日(木) 18:30〜20:30
参加費:無料
場 所:原則、オンラインのみ
定 員:200人
主 催:NPO法人福祉のまちづくり推進機構
共 催:釜ヶ崎のまち再生フォーラム
●申し込みはこちらから。
https://forms.gle/RPAUApXeLFUAygER8
*追って、ご記入いただいたメールアドレス宛に当日の案内(ZOOM URL)が送られてきます。
●講師
深尾 昌峰(ふかお まさたか)さん (龍谷大学 政策学部 教授)
熊本県出身。1998年きょうとNPOセンター設立、2009年に公益財団法人京都地域創造
基金の理事長に就任。市民による持続可能な地域づくりのエコシステムづくりを展開。
2012年に社会的投資をデザインする非営利型企業の株式会社PLUS SOCIAL を起業、代表
取締役に就任。2016年4月にプラスソーシャルインベストメント株式会社を共同起業し代表
取締役会長に就任。現在、龍谷大学政策学部教授、G8社会的投資タスクフォース国内諮問
委員会委員、東近江市参与等を務めている。
●ファシリテーター
大阪市立大学 菅野 拓さん
●お問い合わせ(ありむら潜)
arimura1000@gmail.com
以上
■ 2020年11月ひろばのご案内 |
Date: 2020-11-03 (Tue) |
コロナ感染予防対策をとる必要から予約制とします。
参加希望者は事前に当フォーラム事務局(ありむら潜)までご連絡ください。
<通算219回目 Since 1999>
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(仮題)コロナ禍の真っただ中で、あいりん地域でのまちづくりを公衆衛生学の立場から考える
〜大阪社会医療センターの12/1移転完了・新ステージ移行にも絡めて〜
ゲスト・スピーカー:高鳥毛 敏雄(たかとりげ・としお)さん
関西大学 社会安全学部安全マネジメント学科 教授
*高鳥毛教授は、あいりん地域のまちづくりがボトムアップ型で自主的に始まった早い段階(00年代)から、日雇い労働者・特掃労働者・シェルター宿泊者等の結核予防対策等を通して当地域に関わっておられます。すでにその頃から感染症対策全般の全国的脆弱化についても継承乱打されていました。そして、そのとおりの状況が露呈してしまいました。こうした経験の中から、あいりん地域では地域として・何を・どのように・取り組むべきか、その方向性を示唆していただき、みんなで考える場としましょう。
高鳥毛先生に関連する記事(共同通信)
https://news.yahoo.co.jp/articles/1d3b50d31134ff5f3e6c2a3c3f0e328a9140fc54?page=1
▽関連報告と解説:
「あいりん地域まちづくり会議の議論の最新内容、特にあいりん総合センター跡地の利活用の具体案等について」
寺川政司さん(あいりん地域まちづくり会議座長/近畿大学建築学部 准教授)
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▼日時:2020年11月12日(木曜日) 18:30〜本題19:00〜20:45
▼会場:太子福祉館(太子中央ビル3階。「大阪市立大学西成プラザ」としても利用される集会室の、本来呼称です)
⇒JR「新今宮」駅東出口(通天閣側出口)または地下鉄「動物園前」駅の太子交差点・南西角にある定食屋「宮本むなし」のある太子中央ビル3階。
出入り口ドア(オートロック)前で、インターフォンで「302」+「呼出」ボタンを押し、応答があればドアを開き、中へ入る。(ただし、当日の時間帯は開けっ放しにする予定です)
▼主催:釜ケ崎のまち再生フォーラム
▼参加費:資料代として300〜500円程度の寄付をいただければ幸いです。
日雇い労働者・野宿生活者・生活保護やそれに準ずる方々などは不要です。
▼参加予約・お問い合わせ:事務局(ありむら)まで
mail:arimura1000@gmail.com
URL : http://www.kamagasaki-forum.com
■ 2019年12月27日日経新聞(夕刊)記事の誤報に対する訂正要望書 |
Date: 2020-01-10 (Fri) |
■■日本経済新聞(2019年12月27日夕刊一面)記事
『あいりん 強まる観光色』に対する訂正要望書■■
日本経済新聞社 様
新たな年を迎え,御社におかれましてはますますご清栄のことと存じます。
この度,報道いただきました西成やあいりん地域(≒釜ヶ崎)は,常に多面的な問題が複雑にからんでいるなかで,様々な立場の人々が違いを乗り越えながら丁寧に議論を積み重ねてきておりますが,これまでメディアによって誤報やミスリードが繰り返され,その都度,地域住民は翻弄されてきた経緯があり,丁寧な取材に基づく正確な報道を求めてきました[1]。
残念ながら2019年12月27日御社夕刊に掲載されました記事が,世間に間違ったメッセージを広げるとともに,現在地域に混乱をもたらしており,今後のまちづくりに深刻な事態を起こすことが懸念されております。以下,その問題点および事実誤認に関して私たちの見解を述べ,本報道に関して下記内容(問題点)について御社のご弁明および記事の訂正を求めさせていただきたく存じます。
問題点1:正確さにかける(未確認状態)記事による読者に対するミスリードと地域に混乱を生じさせていること
この記事が電子版で配信されるとまもなく重大な誤りが西成区より指摘され,記者も一部を修正したと担当部局より伺っておりますが,すでに修正されずに配信・配達された経過があります。未修正箇所が指摘され,議論の主体である地域委員や有識者への取材もなく,記事の正確さに問題があるまま,記事全体を通して‟この地域が「労働」から「観光」に移行する”,という強烈なインパクトを伴って読者をミスリードする基調となっています。そのことで,あいりん地域まちづくり会議のさまざまなテーマ別検討会議での議論に参加してきた幅広い人々の強力な違和感や憤慨を引き起こして地域に混乱が生まれています。
問題点2:記事本文内容の事実誤認について
@「地域住民がまとめた跡地活用案」
記事では「まとめた」とありますが,議論するための「たたき台案」は出ているものの,現時点ではあいりん総合センター跡地の南側部分に労働施設(西成労働福祉センターとあいりん職安)を設ける方向性が定められたにすぎません。敷地北側部分の住民福利機能や施設配置案については,付帯意見として本会議(あいりん地域まちづくり会議及びワークショップ)に労働施設検討会議として申し送って全体で議論することになっています。
A「地域住民らがテーマ別に活用案を話し合っていた」
これは「話し合っている」が正確です。
B「新今宮駅に近い北側に,屋台を出せる広場などを整備する構想をまとめた」
個々の地域委員からは意見が出ていますが,まとまっていません。電子版の記事では西成区からの指摘を受けて「意見が多く出た」と修正されています。
C「ただ,住民の利便性向上やにぎわい創出に向けた具体策を必要とするなど3点の条件を付けた。」
地域委員たちが喧々諤々の議論の末に付帯したこの文言は次の3点です。
 「住民の福利」・「にぎわい」のゾーニングの提示時期が令和2年3月であることを了解する。
 「住民の福利」・「にぎわい」の具体的内容をこれまでの意見を踏まえて早急に示すこと。
 あいりん総合センター及び市営萩之茶屋第二住宅跡地の民間売却は認めない。
とくに,これまで積み重ねてきたまちづくりの議論を踏まえない,民間売却による「観光化」やジェントリフィケーションを起こすような事業には与しないことなどが最重要検討事項として議論をしているさなかです。コミュニティを元気にするための,幅広く多面的な意味で用いている「住民の福利」という言葉を記事では全く使用されず,「利便性向上」と「にぎわい創出」という字句だけを書いていることも労働者のまちから観光のまちに移行するという誤ったメッセージを発信する要因になっていると考えます。
問題点3:本記事の見出し“あいりん 強まる観光色”なども相まって,全体がミスリード論調に
上述の@からCがトップ見出しや中見出しと一体となってミスリードを増幅していると考えます(電子版では” 大阪・西成、観光の街に 「あいりん」跡地に屋台村案“)。私たちにとっては,このような論調は大きな誤解を招き,地域を混乱させるため最も避けたいものでした。この度の御社の報道は,見出し等の紙面構成を含めて問題が大きいといわざるを得ません。上述したように,労働施設を南側に設置すること以外はまだ具体的には何も決まっていないなかで,なぜ夕刊1面でこのような方向性を断定するような記事や見出しになったのか,また,中見出しの「屋台村を整備」も地域委員の個人的な発言レベルの段階にすぎないものが(記事では「案」と書いているものの),決定したかのように伝わりかねないものになったのかについて御社のご見解をお示しください。
私たちは,歴史的にも困難な状況にあった地域における関係者間の相互不信を乗り越えようと,日々小さなつながりを丁寧に積み重ねながら少しづつ信頼関係を紡いできた経緯があります。とくに今回のテーマについては,2015年以降48回にも及ぶ労働施設検討会議での議論を通じ,お互いに完全に一致しないながらも次の議論や実践の場へとようやくたどり着いたものです。その発信については会議に参加しておられない地域の方々をはじめ,全国でこのまちの行方を心配されている方々にお伝えすべく,その内容や方法について丁寧に検討しようとしているところでもありました。
私たちの情報発信力の小ささからも,御社をはじめ報道機関のご協力は不可欠であると考えております。このまちの未来のためにも,御社のご見解を示していただくとともに訂正記事や再取材,そして今後このような問題を生じさせない方策提案など,現在生じている地域の緊急事態(混乱)へのご配慮をいただきますよう,何卒ご理解と早急なご対応の程,重ねてお願い申し上げます。
2020年1月8日
あいりん地域まちづくり会議 労働施設検討会議座長 大阪市立大学大学院教授 福原宏幸
同 労働施設検討会議 地域委員有志
西成特区構想有識者一同[2] <50音順>
ありむら潜 (釜ヶ崎のまち再生フォーラム事務局長) 労働施設検討会議有識者委員 他
白波瀬達也 (桃山学院大学社会学部准教授) 就労福祉・健康専門部会座長 他
寺川 政司 (近畿大学建築学部准教授) あいりん地域まちづくり会議座長 他
永橋 爲介 (立命館大学産業社会学部教授) 公園検討会議有識者委員 他
松村 嘉久 (阪南大学国際観光学部教授) 駅前活性化検討会議座長 他
水内 俊雄 (大阪市立大学都市研究プラザ教授) 医療施設検討会議座長 他
村上 靖彦 (大阪大学大学院教授) 子ども子育て専門部会座長 他
________________________________________
[1] 例えば,2019年6月の有識者提言「あいりん総合センター閉鎖(建替)に伴う現況についての見解」 https://www.city.osaka.lg.jp/nishinari/page/0000472044.html [西成区HP]
[2] 西成特区構想会議関係図 [西成区HP] https://www.city.osaka.lg.jp/nishinari/cmsfiles/contents/0000456/456416/2erimaneimage.pdf